日記

「肋骨の柔軟性が呼吸と姿勢に与える影響とは?」

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はじめに|「呼吸が浅い」「肩こりが治らない」それ、肋骨が硬いからかもしれません

最近、こんな症状を感じることはありませんか?

  • なんとなく呼吸が浅い
  • 猫背気味で肩が重だるい
  • 気分が落ち込みやすく、疲れが抜けない

これらの原因として、首や背中の筋肉の硬さ、姿勢の悪さ、ストレスなどがよく挙げられます。
しかし、見落とされがちな要因の一つに「肋骨の柔軟性の低下」があります。

肋骨というと、「肺や心臓を守る骨のカゴ」のようなイメージが強いかもしれません。
ですが実際には、肋骨は呼吸に合わせて動く“関節”のような働きをしており、その動きが失われると、呼吸や姿勢、自律神経のバランスにまで悪影響を与えるのです。

本記事では以下のポイントを中心に、理学療法士の視点から分かりやすくお届けします。

  • 胸郭(肋骨まわり)の構造と柔軟性の役割
  • 呼吸・姿勢・肩こりとの密接な関係
  • 肋骨の動きを取り戻すセルフケアとアプローチ

「深呼吸ができない」「猫背が改善しない」そんな悩みを抱える方にこそ知っていただきたい内容です。
あなたの“呼吸と姿勢”が、きっと今日から変わり始めます。

胸郭(肋骨まわり)の構造と呼吸における役割

肋骨は“動く骨”である

「肋骨は固くて動かない」と思っている方は多いかもしれません。
しかし、実際の肋骨は12対の弓状の骨からなり、背骨(胸椎)と胸骨を結ぶことで「胸郭(きょうかく)」というカゴのような構造を形成しています。
この胸郭は、呼吸をするたびに前後・左右・上下にわずかに動きながら肺の拡張・収縮をサポートする、**“動く骨格”**です。

呼吸と胸郭の連動メカニズム

呼吸の主役は「肺」だと思われがちですが、肺自体には筋肉がありません。
実際に呼吸を“動かして”いるのは、胸郭の拡張・収縮と、それを助ける筋肉群(横隔膜・肋間筋など)です。

呼吸の際の肋骨の動き:

  • 吸気(吸う時):肋骨が外側・上方に広がる
  • 呼気(吐く時):肋骨が内側・下方に戻る

この動きによって肺が広がったり縮んだりし、空気が体に出入りしています。
つまり、肋骨の柔軟性が失われると、肺の拡張も妨げられ、呼吸そのものが浅くなってしまうのです。

肋骨の硬さがもたらす“呼吸の乱れ”

肋骨が十分に動かなくなると、次のような変化が起きます:

  • 胸式呼吸の低下 → 肩や首で息をする「浅く早い呼吸」に
  • 酸素の取り込み量の減少 → 疲労感・集中力の低下
  • 自律神経の乱れ → 不眠・イライラ・血流不良

深くゆったりとした呼吸ができていないと、体は常に緊張モードに入り、回復力も落ちやすくなります。

肋骨の硬さがもたらす“姿勢・肩こり”への影響

胸郭の動きが姿勢に与えるインパクト

肋骨まわり(胸郭)の動きが悪くなると、呼吸だけでなく姿勢の崩れにも直結します。

たとえば、肋骨が硬くなり、前方へ落ち込んだまま固定されてしまうと、自然と次のような姿勢になります。

  • 背中が丸くなる(猫背)
  • 頭が前に出る(ストレートネック)
  • 肩が内巻きになる(巻き肩)

この姿勢は、見た目の印象を老けさせるだけでなく、首・肩・腰に大きな負担をかけます。


なぜ肩がこるのか?肋骨との意外な関係

「肩がこるのは肩まわりの問題」と思いがちですが、実は肋骨が動かないことで肩甲骨の動きが制限されているケースが非常に多いです。

肋骨と肩甲骨の連動関係

肩甲骨は肋骨の上を滑るように動く構造になっています(肩甲胸郭関節と呼ばれます)。
つまり、肋骨が硬くなるとその土台が動かなくなり、肩甲骨が自由に動けなくなるのです。

その結果:

  • 僧帽筋や肩の筋肉が常に緊張状態になる
  • 肩こり、首のこわばり、背中の張りなどが慢性化する
  • 頭痛や腕のしびれにまでつながることも

特にデスクワークが多い人やスマホ操作の多い人は、胸郭が硬くなりやすく、「巻き肩+肋骨の固着」=慢性肩こりというセットが出来上がってしまいます。


さらに全身へ波及する「姿勢の連鎖」

胸郭の硬さが原因で猫背になると、骨盤が後傾し、膝が曲がり、足首も固まり…というふうに、全身の姿勢バランスが崩れていきます

このような連鎖によって、単なる「姿勢の崩れ」が、

  • 腰痛
  • 膝痛
  • 便秘や胃の不調(内臓の圧迫)

など、思わぬ形で体に現れてくるのです。

まとめ|“肋骨をゆるめる”ことが、呼吸と姿勢を整える第一歩

肋骨というと「ただ胸を守っているだけの骨」と思われがちですが、実は**呼吸・姿勢・肩こり・自律神経の働きにまで関与する“動く骨格”**です。

今回の内容を振り返ると——

  • 肋骨の動きが悪くなると、肺の拡張が妨げられ、呼吸が浅くなる
  • 胸郭の硬さは猫背や巻き肩の原因になり、肩こり・首こりを招く
  • 姿勢の崩れは全身へ波及し、慢性的な不調の温床になる

つまり、**肋骨の柔軟性の低下は“静かに広がる不調の起点”**になりやすいのです。

✅ 今からできる小さな対策

  • デスクワークの合間に、肩甲骨と胸を広げるストレッチ
  • 深呼吸をする習慣(特に横隔膜を意識した腹式呼吸)
  • 胸郭をゆるめるためのストレッチやセルフマッサージ

理学療法士としての経験上、肋骨の動きが改善されると「呼吸が楽になった」「姿勢が整ってきた」と実感される方がとても多いです。


「呼吸が浅い」「いつも肩が重い」「姿勢が気になる」
そう感じるなら、まず“胸”=肋骨の動きを見直してみてください。

呼吸が深くなり、姿勢が整い、心も少しずつ軽くなる。
肋骨は、思っている以上にあなたの“日常の快適さ”に関わっているのです。

ABOUT ME
川口幸穂
川口幸穂
株式会社happipon
代表取締役社長
2019年医師免許取得
父が狭心症でカテーテル治療後に運動療法を続ける場がないことをきっかけに、医師監修の今までにない訪問パーソナルトレーニングを立ち上げました。 medical fitness PONOは全トレーナーが理学療法士による訪問パーソナルトレーニングサービスです。 体力に自身のない方や持病をお持ちの方々向けに医師監修で安全かつ効果的なトレーニングを提供します。 専門家が個別プランを作成し、健康な生活をサポートし、美しい体作りをお手伝いします。 PONOで楽しく健康な未来を手に入れるお手伝いができれば幸いです
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